結婚は人生の墓場であるなんて言葉を聞いたことがある私は独身人生を現在楽しんでいます。
実際に結婚は一回もした事がないので私が結婚に対して考えるのは全て妄想の中や人から聞いた話だから本当かどうかわからないのですが、結婚は人を変えるそうなのです。
確かに結婚をすると、今までの自分がいろいろな顔を見せ始めます。
今の自分は一役で、私自身の世界に他者がいるような感覚です。
でもそれが結婚と同時に、そのお嫁さんの旦那さんとなり、さらにお嫁さんの両親からしたら義理の息子になります。
成人男性としての自分だったのが、家族の一人、そしてお嫁さんの親戚の一人になるのです。
さらに、そこに子どもが産まれたら、父となるのです。
人間が変わる機会が何度もあるのです。
その結婚生活で変わらない人なんていないと思います。
そして結婚して変わったね、と配偶者から言われたりしたら自分の事を理解してもらえていないような気になってしまうのは私だけでしょうか。
だから、結婚に踏み切れないと言うこともあります。
そして男として、自分が自由に暮らしている現在とは違い、責任の重さも出てきます。
家族を養うと言うことがこれだけ自由に生活してきた自分にできるのだろうかという不安もあります。
自分の生活が長ければ長いほど、相手を理解できないことも増えてくると思います。
価値観の違いを今の私は妥協し、共感できるようになることができるのか自信がありません。
だから、結婚に憧れる時期が過ぎた私は、既婚者に対して尊敬さえしたくなるのです。
調査料金はかさみ結婚費用は目減りする
探偵の報告から浮き彫りになる男との関係。嫉妬で胸が張り裂け、調査料金はかさみ、結婚資金は目減りする。
探偵と組んで僕はとにかく彼女を調査した。洗いざらいということばがぴったりくる。
当然ながら調査料金はうなぎのぼりに上った。
独特の人ですよねと探偵たちは言った。
どうやら尾行されるのを楽しんでるようじゃないですか。
男性関係はなさそうで、よかったですねと励まされる。
そうだった。驚いたことに彼女は僕ひとすじだった。ひたむきとも言える真面目さで、まさに僕との交際に“取り組んで”いるのだ。
愛情からというよりは、よき妻よき母の予行演習をしているかに見える。良妻賢母になるというのは彼女にとっての命題らしい。
それもひとつの幸福のかたちなのだろうか。
が、探偵からの報告に僕は胸をかきむしられた。ストーカーである相手の男は妻子持ちだった。ふたりはいわゆる人目を忍ぶ交際だったらしい。
一方、陽の当たる場所の男である僕は、その日陰の男に心底の嫉妬と妬ましさ、そのうえ同情すら覚える。彼女が男にかけただろうことば。
そして温かい体を男に与えたと思うと気が狂いそうになった。そうまで執着させるほど彼女が男に与えたものとは。それほどの情けを僕以外の男にかけた彼女が許せない気すらした。
調査料金はかさんだ。
これでは結婚費用どころではない。
それにこんな気持ちのまま、結婚など到底できない。彼女の心を独占できないのに、生活だけ共にして何の意味があるだろうか。
信頼できない人と共にするには人生は長くそして短い。が、困ったことに彼女以外の人との人生は僕には考えられなくなっていた。